研究概要 |
H20-21年度に引き続き,H22年度においてもプロ野球球団の顧客満足度評価モデルの検証を行った.また,本評価モデルに経験価値の概念の導入を行った.さらに,総合満足度スコア,ロイヤルティスコア,経験価値と観客平均数との関連性を検証する際に,ホーム球場所在地の人口密度をコントロール変数とすることで,その影響を取り除き,経営成果(平均観客数)との関連性を検証した.重回帰分析の結果,経験価値スコアについては,回帰モデルのR2乗値が0.6529,経験価値スコアの偏回帰係数のt値は3.852(有意確率=0.004)と1%有意で,経験価値スコアと平均観客数との関連性を示した.この結果は,他の構成概念スコアと比較しても高い関連度となり,経験価値を上げることが観客数増加に繋がる可能性を示している.H22年度では、引き続き、2011年1月下旬にプロ野球のサービスのインターネット調査を行った.3年連続の調査となり,各チームの経年変化を見ることができ,より深い考察が可能となった.サンプル数は,1球団あたり111-126,合計で1432となった.これらの調査データに基づき,サービス品質→総合満足度→応援ロイヤルティ→観戦ロイヤルティのパスを仮定した因果モデルの推定を行った.サービス品質→総合満足度の関係において,3年連続で「ファンサービス・地域貢献」が総合満足度に強い影響を与えていることが示された.また「チーム成績」の影響が大きかった。各球団の総合満足度スコア平均値は,上位が1位:日本ハム,2位:ロッテ,3位:楽天の順となった(昨年の順位:1位:日本ハム,2位:巨人,3位:楽天).日本ハムは総合満足度が3年連続で1位となった.また,2011年1月下旬の調査データでは,回答者のオピニオン・リーダーの度合いを測定したそのスコア平均値は,上位が1位:阪神,2位:ロッテ,3位:日本ハムの順となった.これらの結果を慶大鈴木研究室HPに公開した.
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