研究概要 |
平成21年度は、平成20年度に引き続き、ディジタルエンジニアリングにおける統計的品質管理手法の体系化に向け、コンピュータシミュレーションモデルの検証,過飽和実験計画の構成、多数因子の選別,複雑な応答関数の最適化について、実験計画法を中心に検討を行った。理論面では、MCMCなど数値的なアプローチを今年度からは導入している。理論的解明だけでなく、実施例の検討も行った。その中では、列間の従属性を抑えながら効率的に計画を構成する方法や、確立対応法などによる過飽和実験データの解析法も含まれる。またさらに上記から視点を広げ、研究開発段階におけるプロセス改善技法の研究、ソフトウエア分野でのV&V(Verification and Validation)などのアプローチを考慮した品質測定モデルの構築、さらには不具合防止活動、デザインレビュー項目設定など、主に設計段階を中心として、統計的品質管理手法の効果的活用についての検討を行い、下記に示す論文、学会発表を行った。例えばデザインレビュー項目は、市場のクレーム情報を言語データ処理して導かれるものであり、方法だけでなく、結論も意義深いと考えている。これらの研究においては、実務的課題をまずは明確にした上で、汎用性のある方法論の構築を行った。また広い意味での統計的品質管理手法を、現実的な課題に適用している。さらに、ディジタルエンジニアリングにおいて統計的品質管理手法の開発が必要な場合を明確化した。これには、生産現場訪問などを実施し、その実践的課題を導いた。明確になった実践的課題に対する具体的な解決方法は、平成22年度検討を行う。
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