研究概要 |
鮮度指標K値と積算温度に基づく非破壊の鮮度評価および管理ツールとして,これまで2種類のバイオサーモメーター(以下BTM)を開発してきた.BTMの実用化には,食品製造および流通の現場で簡易に操作可能な作製法と長期保管が必要条件として求められる.今年度は,現場で簡易に操作できる方法として,酵素反応をワンプッシュで開始できる型を試作した.賦活剤を添加した改良MTT型BTM(構成要素:70% Ethanol,20mM Tris-HC1(pH7.8),2mU/mL XOD,3mM Hypoxanthine,0.25mM MTT)は従来の無添加区と比較して,2ヶ月保管において発色度低下を約20%防ぐことが確認された.一方,BTMの発色度とK値との相関が寄与率0.9以上でMTT型BTMによる鮮度判定が可能な魚種はマダイ(0℃),ブリ(0℃,5℃),ゴマサバ(0℃),サンマ(0℃,5℃,10℃,15℃),ヒメマス(0℃),マアジ(5℃),カンパチ(0℃,5℃),スズキ(0℃),ティラピア(0℃,5℃)の9種であった(括弧内は保管温度).WST-3型BTMによる鮮度確認が可能である魚種はマダイ(0℃),ブリ(0℃,5℃),ゴマサバ(0℃),サンマ(0℃,5℃,10℃,15℃),ヒメマス(0℃),マアジ(5℃),カンパチ(0℃,5℃,10℃),スズキ(0℃)の8魚種であった(括弧内は保管温度).これらBTMによる鮮度の可視化が可能な魚について,両BTMの発色度から生可食期限(消費期限)を求めたデータベースを作成した.
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