サプライ・チェイン最適化では、これまで主に陸上業務の最適化モデルを対象としてきたが、この研究では海上輸送に関連する業務を対象とした最適化モデルの開発を行う。具体的には、研究代表者らが既に開発した船舶スケジューリングモデルを、次の2つのモデルに拡張する。1つめのモデルは、在庫管理を考慮した船舶スケジューリングモデルであり、2つめは気象海象の変化を考慮したロバストな船舶スケジューリングモデルである。これらの拡張により、実務で直面する問題に、より幅広く対応できるようにするモデルを開発することを目的とする。船舶スケジューリングモデルは、数日から2週間程度の短期の計画を行うためのものであるが、これに在庫管理を考慮しようとすると、より長期の計画を行う必要がある。より長期の計画を行うためには、貨物輸送の統計的な情報を活用した計画を行うことが有用である。そのための手法として近似動的計画法を採用し、その基本的な枠組みを整理した。それとともに、数値実験により、具体的な実装に必要なノウハウを蓄積した。また、気象海象の変化を考慮したロバストな船舶スケジューリングモデルとしては、集合被服アプローチでの列生成法の部分問題として、現在最短路問題を用いているものを、ロバスト最短路問題に置き換えるアプローチを検討した。ロバスト最短路問題としてBertsimasらの手法を採用・実装し、有効性を数値実験により検討した。
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