研究概要 |
本研究では,最近の関連する国内外の研究動向を踏まえ,ランダムなジャンプを伴う拡散過程で記述される確率的変動を持つ金融資産・変数を仮定した金融市場モデルにおける金融工学的諸問題に対して,モデル化・定式化の検討から始めて,それらに対する解析的・数値的な金融工学手法の確立を目標とした総合的な研究を試みる本研究を始めるに当たって,まず平成20年度は,現在における世界の研究状況を正しく把握するため 1.最新の結果を収めた国内外の学術文献を迅速に入手し 2.国内外の指導的研究者との活発な情報・意見交換を行う ことに努めた.とりわけ,インパルス制御理論の経済学・ファイナンス・金融工学への応用研究に関連する情報を早急に収集することに努めた. 申請者は,学術誌上や国際会議,学会,等の機会に報告してきたように,様々な確率動的最適化問題に対して,理論・アルゴリズム・応用のそれぞれにおいて,多くの結果を得ている.本研究では,今後,上記の1,2を通じて得た,他の指導的研究者・研究グループの研究成果との比較・検討を行いながら,ランダムなジャンプを伴う拡散過程で記述される確率的変動を持つ金融資産・変数を仮定した金融市場モデルにおける金融工学的諸問題へのインパルス制御理論の応用に関して 3.既に得ている成果を,より発展させることを試みる. とりわけ,金融資産が多数存在する場合の問題,など,多次元の問題への拡張を課題としたい.また,それと同時に 4.ランダムなジャンプを伴う拡散過程で記述される確率的変動を持つ金融資産・変数を仮定した金融市場モデルにおける金融工学的諸問題のモデル化・定式化についての新しいアプローチの可能性を検討する予定である.
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