研究概要 |
前年度は,サービス容量の概念を導入して,性能低下を考慮したソフトウェアサービス可用性評価モデルを構築したが,平成21年度はこのモデルをさらに発展させて,複数のサービス(仕事)を同時に処理するマルチタスクソフトウェアシステムに対して,性能低下を考慮したシステムのサービス指向型性能評価モデルを構築した.システム内の仕事の処理規程は無限サーバ待ち行列理論を用いて記述され,仕事の到着過程が非同次ボアソン過程(NHPP)に従うとき,処理時間制約以内に処理可能な仕事数を表す確率過程も同様にNHPPに従うことが導出された.また,瞬間仕事処理完了率(instantaneous task completionratio)や累積仕事損失率(cumulative task incompletion ratio)といったリアルタイム性(real-time property)を考慮した定量的なサービス可用性評価尺度を,時間およびシステムに施されるデバッグ作業回数の関数として導出した.望ましい動作状態と性能低下しつつも動作している状態間をシステムが行き来するサイクル時間,システム固有の故障/修復特性,およびメンテナンスチームのデバッグ能力と,システムのサービス可用性評価との関係について考察し,本モデルの有効性を確認した. また,コデザイン(協調設計)の概念を導入したハードウェアサブシステムおよびソフトウェアサブシステムの故障/修復特性を同時に考慮したコンピュータシステムに対してや,システムの運用段階特有の復旧シナリオを考慮した場合に対しても,上記と同様な議論を展開した.
|