研究概要 |
近年,設計品質からの乖離による品質損失を品質評価基準として採用した計量規準型検査方式をわれわれは提案している.ただし,この検査方式では対象となる製品ロットが単一ラインにおいて製造され,ロット内の品質特性は単一分布に従う状況が想定されている.しかし,実際の製造現場では必ずしもまったく履歴を同一にする製品によりロットが構成されるとは必ずしもいえない.例えば,一連の生産ラインにおけるボトルネック工程では複数の機械・設備により工程が構成されるのが一般的である.品質を不適合品率で規定してロット品質の保証を考える場合には,そのロットの製品が,単一のラインで製造されたものであるか,または複数のラインで並列的に製造された製品が合わさってロットを構成しているのかは基本的に問題をもたらさない.これに対して,既述の品質損失によりロットの品質を保証する場合には,このようなロットの構成状況が問題となる,本年度では,異なる品質特性分布の製品が混合される生産状況において品質損失に基づく品質を保証する検査方式の設計法について考察した.考察を通じて,従来の研究成果を拡張する理論を構築することができた.さらに,その経済性に関する評価についても考察を展開し,一定の成果を得ることができた. 一方,サプライ・チェーン上の製品の流れを考慮し,品質問題を取り扱うにあたって,確率過程に基づく待ち行列理論は有効な手段である.本年度ではこれに関する基礎研究として,GI/G/1型待ち行列システムについて考察し,システムの新しい特性評価アプローチを提案した.これに関して.上記研究と同様.一定の成果を得ることができた.
|