研究課題
実証研究として、米国の株式市場に上場されている全株式の修正済み株価(日次)の分析を行なった。対象とした期間は、1998年から2002年までのインターネットバブルが生成、崩壊した約5年間である。バブル初期の1998年1月を基準時点として、株価を基準化する。すなわち、相対価格の統計的性質を考察する。ここで、S(O)は、基準時点の株価である。まず全銘柄の修正済み株価を基準時点の株価でわり、相対株価を求め、次に相対株価の分布を日毎に描き、相対株価分布の統計的性質の変化を調べる。相対価格を使うことのメリットは、各銘柄の株価が基準時点から何倍(あるいは何分の1)になったかを調べることができ、相対株価の変化が銘柄そのものの株価の高低に依存しない点にある。次の統計的法則が観察されることを確かめた。(1)相対株価分布は裾野部分でベキ乗則に従っている。(2)相対株価分布のベキ指数α(Gini係数)は、バブル期の1999年からインターネット・バブル崩壊が起きた2000年2月後半にかけて低下してゆき、ベキ指数αはバブルの崩壊(相対株価分布の分散の発散)後、再び上昇している。この実証結果は、日本におけるインターネットバブルの実証結果と一致している。このことから、バブル期には価格、相対価格の価格格差が急激に広がり、これがバブルを崩壊させる前兆になっていることが米国市場のデータでも確かめられた。
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