研究概要 |
本研究では作業困難さを評価し,製品を構成する部品の配置を自動的に設計する方法の開発を目的とする.作業者の手作業によって行われる組立作業について着目し,作業を困難とする要因を定量化し,作業時間に及ぼす影響から作業困難さの特徴を分析する.作業の困難さは製品内の部品取り付け位置に影響するため,作業の困難さを定量化することで作業を容易にする部品取り付け位置を設計できる.そして,作業を容易にすることで作業時間を削減でき,生産性の高い組立作業順序の作成も可能となる. 本年度では,昨年度に引き続き現実の組立型パーソナルコンピュータを利用して部品の取り付け位置による作業困難さの評価と組立作業時間の関係を組み立て実験から調べ,作業改善のための部品配置設計の方法を提案した.さらに,部品の配置から評価される作業困難さの各項目の評価値とレイティング値をニューラルネットワークによって関連付け,関連付けから類似製品における部品配置から評価される作業困難さを利用した作業時間見積もり法を開発し,部品を再配置した実機による見積もり結果と実測値とを比較した.この方法によって約10%程度の制度で見積もれることが実験により明らにした.部品組み立ての特徴として作業の困難さを引き起こす要因の関連と程度を重回帰分析によって調べ,その特徴と程度から部品取り付け位置の再設計に関する方法を提案した.一方,多目的最適化問題に対して多目的遺伝アルゴリズムに単目的関数による局所探索法と空間フィルターを組み込んだ方法を提案して有効性を調べた. 来年度は部品配置の情報を多目的遺伝アルゴリズムに導入し,本研究の目的とする"作業設計(工程設計)を含んだ製品設計の自動化"のためのシステム開発を行う予定である.
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