本研究は、データマイニング技術を応用して、システムを機能停止に導く主たる要因を抜き出し、その要因のもとでのシステムや機器の持続性を確率的に評価し、損失関数を与えることでリスク分析を行うことを目的とする。このため、高次元の説明変数空間に蓄積された基礎情報から故障を誘引するデータとそうでないデータとを分離させるため、故障を誘引するデータが他よりも密になっている領域を囲い込み、そこでの故障発生を確率的にとらえリスク分析を行うことを目標とする。今年度は、以下の3つの成果をあげることができた。1)データマイニング技術の中で分類についての最近の先進的な方法論、特にアンサンブル法、について基礎的な研究を行い、新しい方法を提案した。また、その成果を信頼性関連の研究方面へ応用し、実用性も確認した。2)システムや機器の故障を試験結果から推測する統計的な方法論の面から、基礎的な研究として、絶縁試験結果の評価について研究を行い、機器の耐力の精度評価法の提案を行った。3)リスク要因という面からは、口蹄疫感染の広がりについての研究を行い、感染伝播の基礎数理モデルを提案した。4)決定木と遺伝的アルゴリズムを用いたバンプ探索研究については、そのまとめを行なった。これらの3つの成果をまとめると、査読付き論文誌5件、査読付き国際会議5件、その他の口頭発表23件となった。
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