研究概要 |
「研究の目的」 気密性建築物火災等で起こる低酸素濃度環境で生成される火災ガスが,居住者や消防職員に与える生理的影響を人工心肺システムと組織細胞を用いて構築した呼吸器・代謝系の非動物実験において明確にし,気密性建築物火災における火災ガスの毒性評価を行い,消火活動,避難および建築物等の火災安全対策を提言することを目的とする.本年度は,(1)人工呼吸系ガス回路の構築,(2)火災ガス発生システムの構築,および(3)肺上皮細胞の培養,増殖試験を行った. 「当該年度に実施した研究の成果」 (1)人工呼吸系ガス回路の構築 マウス用レスビレータ,水平拡散チャンバーから構成される人工呼吸系ガス回路を構築した.水平拡散チャンバーに設置された肺上皮細胞にマウスの呼吸数に合わせた火災ガスを暴露するシステムを構築した. (2)火災ガス発生システムの構築 温度制御装置により設定された温度に保持された石英管にサンプルを設置して,下部或いは側部より空気を流入させ,マウス用レスビレータに導入するシステムを構築した. (3)ヒトII型肺胞上皮細胞株A549の培養,増殖試験 (1)A549の培地を検討した結果,EagleにFCS10%,ペニシリン5mL(0.51%),L-グルタミン1%培地で5%CO2,37℃条件における増殖曲線を作成した. (2)火災ガスによるA549の細胞毒性評価方法を検討した結果,トリパンブルー4%溶液およびCell Counting Kit-8(高感度水溶性ホルマザンを生成する新規テトラゾリウム塩WST-8を発色基質)で可能なことが分かった.
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