研究概要 |
遠州灘沖海域において,白鳳丸KH-10-3による深海曳航式の浅部地下構造探査を実施し,地形的および既往の反射法地震探査断面で推定された断層に沿って海底面付近の堆積層が変形していることを明らかにした.また,断層北側の堆積盆が陸へ深部ほど傾動している構造が見られ.継続した変動が最近まで行われていることが明らかになった.深海底ビデオカメラによる観察では,断層地形の箇所でバクテリアマット,貝殻片を多数発見した.これまで,この海域における反射法地震探査で活断層が推定されていたが,海底付近の変形については明らかでなかった.今回の浅部地下構造およびメタン湧水を示唆するバクテリアマット,貝殻片の発見は,断層運動が現在も活発であることの証拠として意義が大きい. 既往の反射法地震探査断面の再解釈により,この海域の堆積層を5つのユニットに分け,各々のユニットの堆積層の厚さの分布図を作成した.各ユニットの堆積層厚を比較したところ,断層線に沿って不連続となっており,パターンより右ずれが推定できた.断層の鉛直成分については,堆積層の変形の形態より逆断層によるものと解釈された.また,断層の南東側で厚くたる傾向が断層に沿って認められたが,ユニットごとに違いがあり、最下部のユニットで最も変動が大きいことが分かった.この他,層厚異常が局所的に認められ.古銭洲海嶺などの高まりの沈み込みによる影響が示唆される,これらの結果から遠州断層系の活断層群は,右横ずれ成分をともなった逆断層で,活動に変化を伴うものの現在も活動的であることが明らかになった.
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