研究概要 |
平成22年度には、21年度に引き続く、Natural Timeなる時間概念についてのVarotsos教授グループとの共同研究と、事例研究としての伊豆神津島の地震前兆電気信号に関わる野外調査を進めた。前者については、我々は、2000年伊豆諸島群発地震に関してNatural Time解析が有効であることを示した(Uyeda et al., JCR, 2009)が、2010年度には、地震のバネブロックモデルにおいても実際の地震の時系列と同様な結果が得られることを示した(Varotsos et al., EPL 2010)。またギリシャにおける2008年の数個のM6クラスの地震がNatural Timeの手法によってすべて短期予知されたことを主張したこと(Uyeda and Kamogawa, EOS, 2009)に対するギリシャの地震学者の反論に反論を展開した(Uyeda and Kamgawa, EOS, 2010)。この時間概念は臨界現象における臨界点の発生時を予測できるので、地震の短期予知に有効であるとされている。しかし、これらの有効性の理論的根拠は依然として必ずしも明らかではない。我々はこれらの点について、基礎理論の深化につとめ、数多くの数値実験、実例検証を行ってきたが、未だに論文執筆中の段階である。後者の具体的事例研究としては,1990年代に行われた伊豆神津島で多数回観測された先行電磁現象が地下の電磁的構造の極度の非一様性を示すことの検証を目的として、VLF-MTなどをおこなった(Orihara et al., JA, 2010)。神津島での地電流観測結果は、VAN法での選択規則までを再現する著しいもので、近傍の新島での測定結果、2000年の伊豆群発地震にともなう、地震活動・選択規則の大規模変化とともに、研究が進行中であり、これも論文執筆段階である。
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