近年、台風の来襲や想定外の集中豪雨による樹木や果樹、森林等の被災が多く報告される。しかし、複雑な樹形構造を有する樹木の流体力の評価や対策については経験的な予測の域にとどまっており、高レイノルズ数下における樹木の葉や幹等の各部の抗力と繁茂状態に応じた抗力を系統的に評価する手法は得られていない。本研究は風水害下の樹木の倒伏や破断に至る機構と抗力評価に関して、現地実験と模型実験を連携研究者の林とともに以下のように検討した。 (I)樹木抗力の総合評価法に関する実験的検討(長林・林) (1)風応力下における単独樹木の抗力評価(林)単一樹木に作用する流速透過率を考慮に入れた樹木の抗力評価法の検討を進めた。業績:林建二郎(4人中1番目)「開水路中に水没設置された立方体および桟粗度の流体力」水工学論文集、第55巻、pp.S1141-S1146、2011.2. (2)樹冠の形状が抗力に及ぼす効果の検討(長林) 広葉樹と針葉樹の代表樹種に対する空気流と水流ついての樹木抗力に関する実験的検討から種々の樹種に対応する樹木抗力の総合評価法について検討を実施した。 (II)実樹木の抗力評価への応用(長林) 樹木引倒し試験は20年度の阿武隈川における検討に引き続き、平成21年度は阿賀川においても実施した。引き倒し樹木の降伏力について室内実験を行い、これまでの風洞実験の成果をもとに、強風下で被災した樹木の倒伏と破断の条件を示した。さらに、現地データーを取りまとめ、育成環境と樹種の相違による倒伏力の算定及び破断に関する機構を検討した。業績:長林久夫(2人中2人目)「強風によって被災した樹木群の倒壊破断機構に関する検討」水工学論文集、第54巻、pp.1231-1236、2010.2.
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