研究課題/領域番号 |
20510184
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
福岡 豊 東京医科歯科大学, 大学院・疾患生命科学研究部, 准教授 (30242217)
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研究分担者 |
水島 洋一 東京医科歯科大学, 大学院・疾患生命科学研究部, 特任教授 (50219630)
田中 博 東京医科歯科大学, 大学院・疾患生命科学研究部, 教授 (60155158)
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キーワード | microRNA / バイオインフォマティクス / 肝臓がん / マイクロアレイ |
研究概要 |
本補助事業では、microRNA (miRNA)が近傍遺伝子の発現・転写制御にかかわっている可能性が高いと考え、原発性の肝細胞がんと周囲の非がん部において、miRNA近傍の遺伝子の発現量を調べ、がん部と非がん部でmiRNA近傍の遺伝子の発現状態が異なることを見出した。さらに、両者の違いは距離が近いほど顕著であり、miRNAと近傍遺伝子の発現の相関係数が有意に異なることを示した。H22年度は、存在する部位によってintergenic miRNAとintronic miRNAに分けて、miRNAと近傍遺伝子の発現の相関係数を比較した。悪性度の異なる肝細胞がん患者20人から、がん部および周囲の非がん部を摘出し、遺伝子とmiRNAの発現をマイクロアレイで調べた。非がん部は肝硬変または慢性肝炎であった。解析では、それぞれのmiRNAを中心に幅の異なるウインドウを設定、そのウインドウ内に含まれる遺伝子の発現量の平均を計算し、これとウインドウ中心に位置するmiRNAの発現の相関係数を求めた。その結果、相関係数の差はintronic miRNAで顕著であることがわかった。また、miRNAのターゲット予測プログラムであるmiRandaによって予測されたターゲット遺伝子のうち、最もスコアの高いものとmiRNAの発現の相関係数を計算したところ、がん部と非がん部で有意な差があるとはいえなかった。これらの結果から、がん部においては、miRNAとターゲット遺伝子との関係には変化がなく、intronic miRNAの発現に異常が生じている可能性が示唆された。
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