研究概要 |
ゼニゴケ標準系統について,約30万のEST情報が得られたので,既に保有しているPACゲノミッククローンの末端配列情報と合わせ,それらの塩基配列情報に基づく標準系統雄株および雌株間での多型を調べた。これまでにdCAPS (derived cleaved amplified polymorphic sequences)およびSSR (simple sequence repeats)マーカーを合計113個作成し,そのうち110個を用いて全長約900 cMの遺伝地図を作成した。連鎖群の数は8となり,ゼニゴケの常染色体数と一致した。これにより,米国JGI等との国際共同研究で得られる予定の全ゲノムデータを染色体ごとに振り分けることが可能となる。しかし,X染色体に連鎖するマーカーは含まれていなかった。さらに全ゲノム解析の予備実験として,JGIと共同で27個のPACクローンの塩基配列を決定し,その評価を実施した。得られた配列は合計2.9 Mbであり,その中に213個のタンパク質コード遺伝子を見いだした。これらのうち1/5はEST情報のみに基づくものであった。また,6個のtRNA遺伝子遺伝子も見いだした。遺伝子密度は0.7個/10 kbと見積もられた。レトロトランスポゾン等の転位因子の数は少なく,100 kbに1個程度であった。当初予定していたX染色体マーカーの作成よりも,ゲノムデータの解析の方が先行する結果となったが,研究計画全体としては問題はない。
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