研究概要 |
ビフィズス菌は、便秘の緩和、悪玉菌の抑制、免疫腑活、アレルギー症状の緩和など様々な健康への効果が注目されている。しかし有効な遺伝子操作系が開発されていなかったことから、あまり生理的、生化学的な研究や、遺伝学的な研究が行われてきていない。我々がこれまでに決定した成人腸管で最も優勢なB.adolescentisの全ゲノム配列に基づき、ビフィズス菌属細菌の1)形質転換効率を画期的に上げる方法の開発、2)最小培地の開発、3)安定な選択マーカの確立、4)相同組み換えによる遺伝子破壊法の開発、4)酸素耐性の付与といった各種の遺伝子操作の方法を開発し、本菌属における遺伝子操作を、大腸菌と同程度に簡便化することを目的とした。このうち本年度は、1),2)を達成した。 1)については、対象とするビフィズス菌の制限修飾系に注目し、ゲノム情報に基づき修飾酵素遺伝子を大腸菌で発現させ、これをホストとしてプラスミドを調整したところ、通常の方法に比べ、100,000倍高い形質転換効率を得ることが出来た。この方法を、plasmid Artificial Modificationと名付けた。ゲノム情報が得られている全ての微生物において一般的に応用できる。 2)については、Bifidobacterium adolescentisについて、平板培地で無機塩とビタミンのみでできた最小培地の作成に成功した。
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