研究概要 |
低酸素による発現変動 20年度は二次元電気泳動によるタンパクプロファイリングシステムを完成させることを目的として,C57BL/6Jマウスの肝臓及び心臓を用いてIPG法での解析を行った。通常酸素濃度及び10%酸素で飼育したマウスの肝臓及び心臓を等電点二次元電気泳動で展開した。総タンパク質をCBB染色で,リン酸化をPro-Q Diamind法で,GlcNAc化(Ser/Thrに単糖N-アセチルグルコサミンが結合)をWestern blotで検出した。肝臓において低酸素によって発現量が変化したタンパク質は,熱応答,酸化ストレス応答,代謝系酵素,細胞死に関連するタンパク質があった。一方,心臓では低酸素による発現量の変化などがほとんど見られなかった。心臓の各部位に分画しての解析が必要と考えられる。 酸化ストレスによる翻訳後修飾の解析 カルボニル化に注目しWestern Blotによる解析を試みた。即ち,活性酸素によってアミノ酸側鎖にできたカルボニル基をDNP修飾しそれを検出したが顕著な差は見られなかった。細胞分画によってミトコンドリア画分のみの解析の必要性があると思われる。一方,糖尿病など多くの疾病で異常がみられるGlcNAc化/リン酸化についても検討した。GlcNAc化されたタンパク質の中には,リン酸化は全くうけないスポット,リン酸化と競合するスポット,タンパク質の発現量は変わらず修飾だけが変化するスポットがあり,そのいくつかはHSPタンパク質であった。タンパク量が少ないため同定できていないスポットもあるが,21年度はこれらを明らかにして低酸素との関連を確認していく予定である。
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