研究概要 |
免疫組織化学的な解析 ヒト睡眠時無呼吸の状態に相当する間歇的低酸素状態を維持できるチャンバーを用い,1分間に20秒間を低酸素状態(酸素濃度10%)にしてこれを毎日8時間繰り返す。この間歇的低酸素暴露を高脂血症モデルであるapoE-ノックアゥトマウスに与えたところ,心血管リモデリングの発症・進展に酸化ストレスの増加が重要であることを示した(Hypertension,2009)。 低酸素による発現変動,翻訳後修飾の解析 前年度,肝臓のタンパク質を二次元電気泳動法で解析したところいくつかのタンパク質の変動を確認できたが,心臓では低酸素による発現量の変化などがほとんど見られなかった。これは,アクチン,ミオシンなど細胞骨格系のタンパク質の含量が多いためと考えられ,何らかの分画作業が必要と考えられた。そこで今年度は,心臓を遠心分離により細胞分画してミクロソーム画分を得て,その等電点二次元電気泳動を行い正常と比較した。その結果,分画前は見られなかった発現量の差を検出することができた。また,翻訳後修飾としては,糖尿病を始めとするメタボリックシンドロームにO-GlcNAc化が深く関与しているのでこれについて二次元Western blotで検討した。糖尿病と正常を比較すると,複数のスポットで発現量の変化が見られ,興味深いものとして,ATP synthaseβとenolaseがあった。両者とも,発現量,GlcNAc化共に糖尿病により変化が見られた。だが,発現量の少ないスポットに関してはWestern blotと蛋白染色のスポット照合が難しい。すなわち,お互い濃く染まるスポットが異なるため,全く違うパターンとなる。そこで,一枚のゲルを二枚のPVDF膜にblotし,一枚を染色,もう一枚をWestern blotすることで重ね合わせられる方法を開発しこの方法でスポットの照合を行う予定である。
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