研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的はヒトプロテームにおける、構造・変性ドメインの見積を行う事である。変性ドメイン同定は実験的方法論が確立していないため、生命情報学的にこの問に答えることは重要である。一般の変性領域予測プログラムは変性領域のみを出力、構造予測法では既知構造に類似性のある領域のみが出力されるが、本研究で開発したシステムDICHOTは、構造予測法と新たに開発した配列の保存度を用いる変性領域予測法を組み合わせることで、アミノ酸配列の全長にわたり完全に構造領域または変性領域かを判別するという特徴を持っている。DICHOTシステムをuniprotデータベースに収録された全ヒトタンパク質に適用することで、プロテーム全体で35%の領域が変性、52%が既知構造と類似性を示す構造領域、13%が既知構造と類似性のない構造領域であると見積もられた。このように全域にわたり構造・変性領域の見積もりを行ったのは世界的に初出である。また、最後の13%は構造未決定の領域であり、構造ゲノミクスの有望なターゲット領域となる。また、uniportに記述されている多くの機能サイト、たとえば転写因子の活性化部位、リン酸化サイト、o結合糖鎖修飾部位等が変性領域に多く存在することが示唆された。また、変性領域は核タンパク質に顕著に多く、小胞体、分泌タンパク質の順で少なくなり、ミトコンドリアのタンパク質が最も少なかった。
すべて 2011 2009 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) 備考 (2件)
BMC Structural Biology 9
ページ: 26
Nucleic Acids Res. 37
ページ: D333-D337
BMC Structural Biology (in press)
http://spock.genes.nig.ac.jp/~genome/DICHOT