研究課題
細胞性粘菌の新規ハイブリッド型ポリケタイド合成酵素Steely酵素は1型脂肪酸合成酵素(FAS)のチオエステラーゼドメインがIII型ポリケタイド合成酵素(PKS)に置き換わると言う特異な構造を持つ酵素である。この構造はいわば天然のドメイン交換によるものと考えられる。そこで本研究ではコンビナトリアル生合成への応用を視野に入れ、新規ハイブリッド型PKSであるSteely酵素の構造、作用機構、産物の関係を調べた。本年度はこれまであまり解析がなされていなかったSteelyA酵素を中心に解析を進めた。SteelyA酵素をコードするstlA遺伝子を欠損した遺伝子破壊株を用いて、SteelyA酵素のin vivo産物の構造解析を行い、SteelyA酵素がその産物のひとつとして4-methyl-5-pentylbenzene-1,3-diol(MPBD)の合成を司っている事を明らかにした。さらにこの欠損株は胞子細胞の成熟ができず、胞子塊が不完全な細胞からなるという欠損がある事、この胞子形成の欠損が外から200nMのMPBDを与える事によって回復する事を明らかにした。これまでの研究から、細胞性粘菌でみられる2つのハイブリッド型PKSの産物がそれぞれ柄細胞分化誘導分子DIF-1と胞子細胞の成熟を誘導するMPBDである事を明らかにする事ができた。細胞性粘菌の細胞分化が他に例をみないハイブリッド型酵素のSteely酵素によって調節されている事を明らかにした。
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FEMS Microbiology Letters
巻: (in press 未定) ページ: doi:10.1111/j.1574-6968.2011.02273.x.