研究概要 |
テトラヒドロピロロイミノキノン類は、マカルバミン、ダミロン、ディスコハブディンなどとして知られる海産アルカロイドの一種で顕著な細胞毒性を示すことが知られている。報告者らは、これまでインドール誘導体を経て表題化合物の合成を行い、合成中間体の活性も含めて知見を得ている。本研究では、最近確立することが出来た電気化学的に発生させた超原子価ヨウ素を用いて合成されるキノリン誘導体を中間体とした新規経路を開発し、表記アルカロイド類の合成を達成した。特に、キノリン骨格の構築には、芳香環上の酸素置換基により、キノリノンおよびスピロ化合物の生成が制御されることを見出している。また、ピロール環を構築するときのC1ユニットとして適切な電気陰性度が必要であることも判明した。さらに、近年報告されている配当体型天然物(Tetrahedron Lett.2004,45,9415)の合成にも成功した。現在、合成された化合物の生物活性について評価とともに、より強力かつ選択的な活性の発現を目指して関連物質の合成を行っている。 電気化学的にタリウムの再酸化反応を試みるために、フェノールよりも酸化電位の高いメチレンテトラヒドロナフタレン誘導体を基質とした転位反応を指標に、種々反応条件を検討した。その結果、メタノールートリフルオロ酢酸ナトリウムの系において高い再生率でタリウム(III)が得られることがわかった。さらに、タリウムイオンのカウンターとしてトリフルオロアセテートイオンが存在することを明らかにした。 その他電極反応を活用して達成することに成功したギムナスタチン類およびメギストフィリンIの合成がある。
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