本研究は、ペプチドホルモンのプロセッシングにおける前駆体蛋白質の立体構造形成の意義を明らかにすること、およびプロ領域の分子内シャペロン機能を有効利用することを目的として行われた。 山口(関西学院大学・理工学部)は連携研究者である。 1) プロウログアニリンの立体構造解析(日高、山口) 本年度、遂に、プロウログアニリンの精密化した最終立体構造を決定することができた。その立体構造を詳細に解析した結果、前駆体蛋白質の立体構造が進化の過程において、如何に成熟体の生理活性構造の構築に役割を果たしてきたのかを推測することができるようになった。その考察を基に、種々のプロウログアニリン変異体を作成し、その仮説の検証をおこなった。 現在、統括的に情報を収集し、最終結果を導くためのデータを収集しているところである。本成果は、これまで、省みられなかった前駆体の立体構造形成の重要性を主張するものであり、今後の生命科学の新分野を築くものである。また、現在、論文作成中である。 2) プロ領域の分子内シャペロン機能を利用した新規生理活性ペプチドの構築と検索(日高) 上記の研究成果と統合し、種々の前駆体を遺伝子組換えにより調製し、その立体構造形成と新規生理活性ペプチドの立体構造形成に対する分子内シャペロン機能の役割を検討した。本年度は、特に、その立体構造形成の中間体の意義を調べるため、反応中間体を分離精製し、その時点からの立体構造形成と生理活性構造の形成の相関を検討した。その結果、生理活性構造の形成には、ある一定のルートが存在することを明らかにした。本研究内容については、部分的に学術誌に発表した。
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