研究概要 |
本研究では,endostatinやangiostatin,thrombospondinといった内因性血管新生阻害因子に着目し,これら因子の発現をがん細胞や血管内皮細胞自身において高めることができる天然由来の「内因性血管新生阻害因子プロモーター活性化物質」の探索を試みた。ホスト細胞に内因性血管新生阻害因子であるthrombospondin-1遺伝子のpromoter領域を融合したluciferaseレポータープラスミドを導入・安定発現させた遺伝子改変細胞の樹立を試みた。ベクターの種類やプロモーター領域の大きさなどを種々検討しトランスフェクションを試みたが、安定発現株の樹立には至らなかった。また、ヒト齊帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)とヒト咽頭上皮がん細胞(KB)やヒト慢性骨髄性白血病細胞(K562)など数種の由来の異なるがん細胞を用いて増殖抑制試験を行いHUVECに対して選択的に増殖抑制効果を示す化合物の探索法を用いてスクリーニングし、生薬の抽出エキスライブラリーから数種のエキスに活性を見いだし、試験の結果を指標に分画精製を行った。一方、ヒトの前立腺がんおよび膵臓がんに高発現が見られ、増悪因子でもあるDNA脱メチル化酵素PCA-1の脱メチル化活性を阻害する化合物のスクリーニングを行った。生薬の抽出エキスライブラリーをスクリーニングした結果、数種のエキスに活性を見いだした。活性の見られたエキスは試験の結果を指標に各種クロマトグラフィーにより分画を行ない、最終的にはHPLCを用いて精製することで活性物質の単離に成功した。現在、質量分析スペクトルや各種NMRスペクトルを測定してその化学構造を解析している。
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