下等な陸上植物である蘚苔類、シダ類のジテルペン合成酵素の遺伝子クローニング、機能解析、および発現様式などを解析し、陸上植物におけるテルペノイド生合成の進化を世界に先駆けて明らかにすることを目的として、研究を推進してきた。今年度、我々は下等植物である蘚類と苔類からのジテルペン合成酵素のクローニングと機能解析に加えて、シダ植物イヌカタヒバからも、ジテルペン合成酵素遺伝子のクローニングに成功した。イヌカタヒバは、少なくとも6種類のジテルペン合成酵素遺伝子を発現していた。それらは、より下等な苔類、蘚類とは異なるタイプのジテルペン合成酵素遺伝子であり、被子植物と蘚苔類との中間タイプのジテルペン合成酵素類と考えられた。また、我々は、稲のファイトアレキシンとして報告されている環状ジテルペンのモミラクトンを、蘚類ハイゴケがアレロケミカル(他感物質)として生産することを見出している。ハイゴケから、モミラクトンの生合成中間体であるピマラジエン合成酵素遺伝子のクローニングを試みたところ、合成酵素遺伝子の断片をクローニングすることに成功した。現在、全長cDNAのクローニングを行っている。
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