研究課題
1. 熱帯泥炭湿地湖沼の水位変動と水生生物 : (1)カハヤン川流域の三日月湖(Tehang湖、Hurung湖)と氾濫原湖(Batu湖)における植物プランクトンの分類を行い体積から現存量の推定を行った。植物プランクトンはユーグレナ藻とケイ藻が優占していた。クリプト藻は低水位期に密度が増加した。湖沼が河川と連結する水位を基準にして、高水位期と低水位期に分けると、高水位期に比べて低水位期には、クロロフィルa濃度が有意に高く、植物プランクトン密度と現存量も高い傾向が見られた。(2)11月よりTehang湖とBatu湖で植物プランクトンで水質と植物プランクトンの鉛直分布の調査を開始し、湖水の混合と植物プランクトン群集変動をより詳細に解析することとした。2. 温帯泥炭湿地池沼の水位変動と水生生物への影響 : (1)7月から10月にかけて、稚咲内砂丘林帯の標高および環境撹乱の程度の異なる8池沼について、水質測定と動物プランクトンおよび底生動物組成を調べた。これらの湖沼には流入河川はない。流域河川と降水を加えた水質項目の主成分分析から、農地開発影響と降水影響を主成分として地点が分離された。これらの池沼ではNIP比が16以下で窒素が制限因子となっていた。砂丘林が掘削され農地と隣接する湖沼では全リン濃度が非常に高く(N/P比0. 1〜0. 2)、水深が浅く降水の影響が強いと見られる池沼では窒素濃度が相対的に高かった。(2)2008年は降水量が少なく、3つの池沼では8月以降完全に水が無くなった。水位低下による湖岸線の後退で自記水位計による計測は不可能となった。底生動物はユスリカ科の幼虫が優占していたが、比較的水深が深く水域が干上がらない湖沼ではトンボ類の幼虫が多く見られた。稚咲内砂丘林帯池沼では、底生動物の組成と現存量は富栄養度と湖水面の消失の頻度に支配されることが示唆された。
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Environmental Monitoring and Assessment (On line first)
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