研究概要 |
本申請課題は20年10月末に追加採択されたため、本年度はこれまでの調査結果及び試料の整理を行い,予察的な調査結果を得た. 1 佐潟を中心とした新潟県における砂丘湖の陸水生態学的な調査資料の集積より,佐潟における植物相385種,昆虫相,787種,爬虫類・両生類相16種が他湖沼と比較して極めて多様性に富むことが明らかとなった. 2 富栄養化の象徴であるアオコの出現状況をクロロフイルa濃度を指標とし,水生植物,特にヒシ,ハスの繁茂状況との関係を過去7年にわたって解析を試みたところ,ヒシの生育面積との間に強い相関があることを明らかにした. 3 佐潟周辺の湧水水質の季節変化を10地点で調査し,3つのパターンを明らかにした.湧水中の硝酸態窒素の安定同位体比分析を行い、δN15の変動が-2.02パーミル〜9.26パーミルであり肥料成分からの流出の可能性の大きいことを明らかにした. 4 佐潟の流入口及び流出口において、水位変化及び流量の連続観測を行った過去の結果と窒素成分の測定より,窒素収支を予察的に解析したところ,湧水からの流入窒素の約30%が脱窒素により空中に飛散することが明らかとなった.別に実験的に求めた脱窒素量は20mgN/m2/dayと推定され,収支から求めた50mgN/m2/dayと良い一致を示した. 5 秋から開始した佐潟の水質の季節変化から,硝酸態窒素は秋-春に高いというこれまでの結果と一致した結果を得た.また,クロロフイル-a濃度も冬季においても300μg/Lと極めて高く,富栄養化の現状が示唆された
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