研究課題/領域番号 |
20510214
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
福原 晴夫 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (50108007)
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研究分担者 |
戸田 任重 信州大学, 理学部, 教授 (60291382)
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キーワード | 砂丘湖 / アサザ / ヒシ / クロロフイルa / オオエゾヨコエビ / 植物プランクトンブルーム / 自然湖岸 |
研究概要 |
1.砂丘湖の現状調査として、新たに秋田県に分布する浅内沼他7湖沼及びこれらに流入する湧水の調査を行った結果、浅内沼、同小沼、蓮沼でアオコのbloomが観察された(蓮沼122-293μgChl-a/L)。湧水のECは蓮沼で0.282-0.510(mS/cm)、鯉端の池で0.349(mS/cm)と高かった。新潟県内23砂丘湖沼の22年度秋期の調査では、クロロフィルa濃度は2.1(上佐潟)-589(金池)(μg/L)であり、5湖沼で植物プランクトンのbloomが観察された。 2.砂丘湖の貴重水生植物調査では、佐潟においてマツモ、ミズアオイ及びオニバスの復活があり、アサザの県内における花型分布調査では2湖沼で短花柱花、2湖沼で等花柱花のみが分布することが明らかとなった。また、鳥屋野潟においてアサザの生活史の調査を行い、大小合わせると25群落、県内最大の計2.7haの生育を認めた。 3.砂丘湖湧水の動物調査ではオオエゾヨコエビの世代解析から、一定水温下においても、10月から翌年の12月にかけて成長する約15ヶ月の生活史を持つことが明らかとなった。 4.各種栽培指針、聞き取り・現場調査から、佐潟周辺における砂丘地農業では春作としてタバコ(4月-8月)・スイカ(4月中-7月)、秋作としてダイコン(8月中-12月中)が栽培され、それぞれ推定窒素施肥量が12.5、20.0、25.2(kg/10a)となり、施肥時期と湧水中の窒素濃度の変動との関係を解析した。 5.佐潟において9月に空中写真を撮影し、水生植物の繁茂状態を解析した結果、ヒシの繁茂が例年になく著しいこと、この時期クロロフィルa濃度は4.1、24.9(μg/L)と極めて低く、アオコの発生が抑えられ、前年に解析した「ヒシの繁茂がアオコ発生を抑制する」という仮定をさらに強化するデータを得た。 6.農地-肥料-地下水-湧水-水生植物-植物プランクトン-水質の関係スキームの解析に砂丘湖が適しており、砂丘湖生態系の保全(植物プランクトンbloomの抑制、富栄養化の防止など)対策のため、周囲にヨシ帯を有する自然湖岸の再生、湖内におけるヒシ群落繁茂の重要性が明らかとなった。
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