研究課題
外来生物の侵入状況を泉佐野市、大阪狭山市などのため池で調査した。泉佐野市のため池群では5綱17目69種の水生動物が記録され、7種が外来種、7種が環境省や大阪府のレッド種であり、外来種の多い池ではレッド種が少ない傾向があった。大阪狭山市の副池では、同池の水辺に接するビオトープ池を含めて7綱16目43種の水生動物が記録され、5種が外来種、3種がレッド種であった。同ビオトープ池では4種の外来種が見られたが、副池本体に多いブルーギルは確認されなかった。これはこのビオトープ池が浅いことや増水時にのみ水面がつながる構造のためと考えられた。この他、チョウ類やガ類、トンボ類、ゴミムシ類などを対象とした調査では外来種は確認されなかった。最近、関東地方に侵入したアカボシゴマダラ外来亜種(タテハチョウ科)の生活史形質と寄主植物選好性を室内実験により調査した。その結果、この外来亜種は北海道から奄美群島の各地で定着可能であり、奄美群島に侵入した場合、そこに生息する日本固有亜種との競合・交雑の恐れがあることが明らかになった。環境省の絶滅危惧種であるシルビアシジミの各地の個体群について、ミヤコグサとシロツメクサに対する選好性を室内実験により調査した。その結果、兵庫県相生市の個体群は本来の寄主であるミヤコグサのみを選好するが、野外でシロツメクサ利用が知られている千葉県鴨川市と大阪府豊中市・吹田市の個体群はシロツメクサに対する選好性も示すことが明らかになった。外国産亜種の野外遺棄により在来亜種との遺伝子撹乱が知られているヒラタクワガタについて、和歌山、京都、滋賀、兵庫各府県産の個体を用いてMtDNA(COI領域、439bp)の解析を行った。データベースと照合したところ、調査した個体はいずれも沖縄産とは明確な違いが認められたが、互いに数塩基の違いしかなく、国外を含めた他の亜種と交雑したと考えられる個体は認められなかった。
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