研究課題
沖縄群島の小島嶼に分布する絶滅危惧種のうち固有種の可能性のある1)固有性調査と分類学的再検討;2)埴物園における自生地外保全;3)データベースの構築を行うことを目的として行われた。1)特筆すべき成果として、沖縄群島小島嶼である久米島(基準産地)と奄美大島に固有のマルバハタケムシロ(キキョウ科)・における分子系統解析研究がある。その成果より、マルバハタケムシロはオセアニアのLobelia固有種と近縁であることが示され、琉球列島とオセアニアで隔離分布するととが示唆きれた。また、オーストラリア産とより近縁であること示され、オーストラリアから沖縄群島小島嶼への長距離分散によって侵入したことが示唆された。その他、これまでオーストラリアとの共通種と考えられていたイトスナヅル(クスノキ科)の外部形態、分子データをもとに、本種が沖縄群島小島嶼である伊是名島だけに産する固有種であることが示唆された。また、沖縄県指定の絶滅危惧植物であるヤエヤマジュウニヒトエ(シソ科)の久米島での新産地を発見した。2)、沖縄群島小島嶼の絶滅危惧植物30種類について、確実な栽培法を確立し、筑波実験植物園における絶滅危惧植物の系統維持に追加した。上記30種類には特殊栽培技御を用いた挿し木によって増殖させた3種類の木本絶滅危惧植物を含む。3)沖縄群島島嶼部の維管束植物標本320点において、その標本画像、産地、自生地データを含むデータベースを作成し、公開した(一部絶滅危惧植物を除く)。その他、平成22年8月に沖縄県の海洋博記念公園において開催された特別展「おきなわの絶滅危惧植物」への協力(講演、資料提供など)、国立科学博物館における企画展「絶滅危惧植物展」(平成22年10月)の開催を行い、生物多様性と絶滅危惧植物の社会発信に努めた。
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