研究課題
チョウ類:3年間の研究期間を通じて得られた結論は以下の通りである。先ず、チョウの多様性は秋に草刈を実施している管理継続区で最大で、中期放棄区がそれに続き、長期放棄区で最小であった。また絶滅危惧種も管理継続区で個体数の多い種が多く、チョウの多様性と希少種の保全のためには、人的管理が必須である事が判明した。但し、どのような時期のどのような管理が最適かという命題はまだ未決の部分があり、次の課題として残った。一方、本研究においては、同様な人的管理形態の場所でも、周辺植生の違いがチョウの多様性にかなり影響を及ぼす事が判明し、チョウの多様性維持のためには、管理形態と共に周辺の植生配置に配慮する必要性が強く示唆された。植生:管理履歴の異なる3区(管理継続区(防火帯)、中期放棄区、長期放棄区)を対象に種数と種構成の比較を行った。その結果、総種数は管理継続区で最も高く、放棄期間が長くなるにつれて減少する傾向があり、長草型群落と短草型群落の双方で高い種数だった。一方、短草型群落では放棄期間が長くても種数が高く維持される傾向があった。また、放棄期間が長いほど長草型群落と短草型群落の群落高に違いが生じ、長草型群落の群落高が高くなる傾向があった。これらの結果から、(1)チョウ類の種数に影響する草本群落の種数を高く維持するためには毎年の刈取りが最も効果的であること、またこの機構の1つとして、刈取りによるリター除去の効果が考えられたこと、(2)短草型群落を維持することで比較的省コストで種数維持が可能であることが明らかになった。
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日本環境動物昆虫学会誌
巻: 21 ページ: 115-125
Biodiversity and Conservation
巻: 19 ページ: 2147-2166
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