研究課題/領域番号 |
20510224
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
千葉 悦子 福島大学, 行政政策学類, 教授 (30217244)
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研究分担者 |
岩崎 由美子 福島大学, 行政政策学類, 教授 (80302313)
浅野 かおる 福島大学, 行政政策学類, 教授 (10282253)
坂西 友秀 埼玉大学, 教育学部, 教授 (30165063)
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キーワード | 多文化家族支援センター / 国際結婚 / 日韓比較研究 / 外国人定住政策 / コミュニテイビジネス / 貧困 / 少子化 / 過疎農村 |
研究概要 |
平成22年度は本研究の最終年度にあたり、これまでの調査研究の成果を中間的なものではあるが、学会発表や研究論文としてとりまとめるとともに、平成21年度に行った韓国全羅北道長水郡および鎮安郡の補足調査を実施し、本研究全体の理論的・実証的な検討とその総括を集中的に行うことに努めた。韓国の補足調査では近年急増しているベトナムからの移住女性のインタビュー調査、移住女性への起業支援の実態調査、農村コミュニティと移住女性の関係、それらを支援する関連機関の役割を明らかにするため、多文化家族支援センター、地方新聞社、自治体の訪問調査を重点的に行った。韓国調査をとおして、農山村の過疎化の深刻化、未婚後継者の急増が日本以上のスピードで進んでいること、一方、それらの対応策が日本では自治体や民間に委ねられているが、韓国では政府あげて社会的統合策が進められていることを再確認した。中でも移住女性家族への経済的支援やハングル教育を、金銭的援助を伴う事業による、女性達自身の経済的自立に向けた支援をとおして行っていることが明らかとなった。しかも、多文化家族支援センターや民間企業が交流の場所を提供し、コミュニテイビジネスを起こすための支援へと新たな段階を迎えていることも注目された。しかし、同時に、こうした支援策がなされる背景に、農山村住民の貧困化があることも見逃してはならない。都市住民と農村住民の階層間格差は深刻で、社会的統合策を進めざるを得ない政府の危機感がみてとれた。日本の農山村の外国人移住女性家族の階層問題についての新たな検討課題も見えてきた。 なお、日韓の地域づくりにも詳しいグジャイン氏(韓国鎮安郡政職員)を招聘し、本研究の成果をめぐって総括的な意見交換の場を計画していたが、東日本大震災のため中止せざるをえず、とくに今後の課題を確認する総括的な検討は年度をまたいで行ったことを付記しておきたい。
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