本研究は、ムスリム社会において公共圏がどのようなものとして現れ、機能しているのか、さらには多様性を包摂するような民主政治や市民社会の成熟の条件とみなされている公共圏にイスラーム復興はどのような意味合いを有しているのかについて、理論と実証研究の両面で検討するものである。 これまでの公共圏研究ではあまり宗教という要素を組み込んだ研究は行われていない。しかし、宗教は規範を形成したり社会を束縛する力とともに、権力を批判する力も有しており、公共圏において重要な役割を果たしている。本研究ではこの両面を織り込んだ概念構築を目的としている。
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