本研究の目的は、中央アフリカ熱帯雨林地域の農耕文化を、環境に対する適応・歴史/文化的な指向性・市場経済に対する適応・農業政策への対応の視点から総合的に捉えることである。特に植民地期と独立以降の政策への対応を中心に、20世紀の農耕文化史を地域社会の内外の変化から再構成することを目指す。 本年度は、アフリカ学会における発表、カメルーンにおける現地調査、カメルーン・フランス・イギリスにおける文献資料収集、中央アフリカの農業史と社会史に関する論文執筆をおこなった(発表は来年度)。 カメルーンでは、東部州のリンディ村とモンディンディム村において、土地利用と商品作物栽培の歴史に関する聞き取り調査を実施した。その後、ヤウンデの農業省において、カメルーンの農業政策10年プロジェクトに関する資料の収集、国際熱帯農業研究所(IITA)においてキャッサバと商品作物の栽培史に関する資料の収集をおこなった。フランスでは、パリの自然史博物館で熱帯作物に関する資料、エクサンプロヴァンスの国立文書館において、植民地下における農業政策に関する資料を収集した。 今年度の成果は、来年度以降の分析のための資料を収集したことである。村の土地利用史と商品作物の栽培史を聞き取り、国の農業政策に関する文献資料を収集したことで、マクロ・ミクロ両面からの資料を収集し、現代農業史の解明に近づいた。 経費は主として、国内および海外旅費、海外調査のための小型パソコン購入費、海外での文献収集費として使用した。
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