本研究の目的は、中央アフリカ熱帯雨林地域の農耕文化を、環境に対する適応・歴史/文化的な指向性・市場経済に対する適応・農業政策への対応の視点から総合的に捉えることである。特に植民地期と独立以降の政策への対応を中心に、20世紀の農耕文化史を地域社会の内外の変化から再構成することを目指す。 本年度は、論文執筆と国内外での研究発表をおこなった。中部アフリカの農耕文化史と社会史に関する総論的な論文「中部アフリカ熱帯雨林の農耕文化史」「アフリカ熱帯林の社会(1)-中部アフリカ農耕民の社会と近現代史-」を、共著『森棲みの生態誌-アフリカ熱帯林の人・自然・歴史I』と『森棲みの社会誌-アフリカ熱帯林の人・自然・歴史II』に発表した。また、昨年度収集した現地資料を用いて、「森と人が生み出す生物多様性」を執筆、『森棲みの社会誌-アフリカ熱帯林の人・自然。歴史II』に発表した。8月には、東京外国語大学主催の海外講演プログラム"Exchange Lecture by Japanese Anthropologist on Nature and Society in Southeast Asia"で、マレーシア国立サバ大学において、"Diversity of Banana-Farming Cultures in Asia and Africa"と題して講演をおこなった。3月には、京都大学シンポジウム「コンゴ盆地森林居住民の文化と現代的課題」で、「中部アフリカ熱帯雨林における農耕文化」と題して発表した。 経費は主として、国内旅費、機材、英文校正、資料のデジタル化などに用いた。
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