研究課題/領域番号 |
20510235
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研究機関 | 奈良県立大学 |
研究代表者 |
中谷 哲弥 奈良県立大学, 地域創造学部, 准教授 (50285384)
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研究分担者 |
外川 昌彦 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 准教授 (70325207)
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キーワード | 南アジア / 観光 / 宗教実践 / 中間層 / ライフスタイル / インド : バングラデシュ / 文化人類学 |
研究概要 |
本研究は、経済成長を続ける南アジア地域の社会変容を「余暇社会」という観点から分析することを目的としている。特に、余暇における「観光」の役割に注目しているため、本年度は南アジアの中でも成長著しいインドとバングラデシュについて、それぞれの観光動向に関する情報収集を行った。これらの国々では、現状では両国民が海外へ出かける国際アウトバウンドよりも、国内観光が重要である。よって、両国の人々による国内観光全般の動きを捉えるために、観光関連のパンフ、旅行雑誌、新聞広告等の収集に加えて、観光関連の省庁による統計的なデータや年次報告書などの基本資料の入手に努めた。これらの文献資料の収集のほか、中間層に属する人々への予備的なインタビューを行った。加えて、代表者の中谷はインドの主要な観光地のいくつかを訪れて、観光インフラの整備状況等について検分するとともに、都市中間層世帯の家族旅行に実際に同行して参与観察を行った。その結果、これら地域においては、膨大な数の国内観光客が動いていること(インドの統計では2007年で5億人を超えている)、国内観光向けの各種広告は年々増加し、ネットによるホテルや交通機関の予約・クレジット決済も一般化してきていること、公務員や民間フォーマル・セクターの被雇用者達は有給休暇などの労働環境が、かなりしっかりと整っていることなどが判明した。こうした状況から、仕事と余暇の領域がはっきりと弁別される中間層のライフスタイルにおいて、観光がひとつの重要性を持っていることが改めて確認された。従って、本研究の視点は、今後の南アジア地域の社会変容を捉える上で有効であると考える。本年度、分担者の外川は、関連テーマについてすでに学会等での発表も数多く行っている。2008年11月には、アジア地域における観光の動向や余暇社会に関する理論的検討を加えるために、観光に関する2名の専門家を招いて独自に研究会を開催した。
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