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2009 年度 実績報告書

変容する海外送金パターンがパキスタン経済に与える影響:米国同時テロ事件以降の展開

研究課題

研究課題/領域番号 20510242
研究機関立命館大学

研究代表者

小田 尚也  立命館大学, 政策科学部, 准教授 (30436662)

キーワード労働移動 / 海外送金 / パキスタン / 米国同時テロ
研究概要

本研究は、2001年9月11日の米国同時テロ事件以降、著しく変容する海外からの送金パターンがパキスタン経済に与える影響を分析することを目的とする。これまでに入手した二次データおよび家計レベルでの定量的な調査データより、米国からの送金の使用に関して以下の点が明らかとなった。その前にまずパキスタンから米国への移民者は二つの大まかなグループに分類することができる。一つは、1960、70年代の移民グループであり(米国社会に根付いており、米国におけるパキスタン社会を代表する層とも言える)、もう一つは1990年以降の移民規制の緩和後に移民したグループである。前者は比較的生活水準の高い家計からの移民であり、一方後者はその限りではない。よって送金目的もこの二つの主体によって異なる。大胆に二分した場合、前者のパキスタンへの送金は経済的機会の追求を目的としており、後者の送金はパキスタンに残した家族や親族の生活水準向上を目的としている(中東石油産出国への出稼ぎ労働者に類似した送金行動)。この結果、9.11テロ事件以降に顕著となった大都市圏での不動産購入や自動車などの奢侈財購入、株式市場での投資は前者移民者グループの送金によるものであると見られる。これに対し、ある既存研究では、後者の送金が米国からの送金全体の60%程度を占めると指摘している。また他の既存研究は寄付目的の送金も少なからずあり、2003年度ではおおよそ8000万ドルと推計されている。このように米国からパキスタンへの送金は、中東石油産出国からの送金と比べると大きくその使用に関して差異が見られる。この研究から浮かび上がる懸念としては、米国からの送金の持続性である。もし送金の多くが経済的利潤の追求であれば、それはパキスタンの景気変動に大きく左右され、パキスタン経済と米国からの送金はpro-cycleである可能性がある。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] パキスタン経済の現状と将来展望2011

    • 著者名/発表者名
      小田尚也
    • 雑誌名

      パーキスターン

      巻: NO.235(発行予定)

  • [雑誌論文] パキスタン政治の混乱と司法2010

    • 著者名/発表者名
      小田尚也(中西嘉宏との共著)
    • 雑誌名

      パキスタン政治の混迷と司法(佐藤創編)(アジア経済研究所)

      ページ: 9-36

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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