本研究は、患者の尊厳を尊重した看護援助を実践するための方策について、特に患者の性に焦点をあてて、ジェンダーやセクシュアリティ、看護援助における倫理的問題、看護師のキャリアの視点から明らかにし、看護師の支援プログラムを作成することを目的としている。先行して行った「看護師のジェンダー・アイデンティティが看護援助に及ぼす影響の実態に関する研究(課題番号17510232平成17年度〜19年度)」での成果を踏まえて研究を実施していく。 初年度は、男性看護師を対象とした質問紙調査および半構成的面接調査を実施した。質問紙調査では男性看護師の持つ「人間の性」に関するイメージや知識および、看護師が臨床で関わる実際的な倫理的問題への認識を調査した。全国の100床以上の総合病院から無作為に抽出した94病院のうち、管理者の理解と協力が得られた30病院の男性看護師を対象とした。 調査の目的や方法、倫理的配慮について説明した趣旨書を質問紙と個別回収用の切手付封筒ともに289部配付し、質問紙の返送をもって同意を得たとみなし、有効回答155部を回収(回収率53.6%)した。半構成的面接調査では、臨床での倫理的問題への具体的対応や対応の背景にある「人間の性」に関するイメージや経験、看護職に関する認識を問うた。A県内の7病院39人の男性看護師のうち15人(回答率38.4%)が書面および口頭で同意して回答した これらの情報から倫理的問題に関わる男性看護師の対応を多角的に分析する。今後は先行研究の女性看護師に関するデータと合わせて、患者の尊厳を尊重した看護師による看護援助を実践するための方策を検討する。
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