2年目にあたる今年度は、患者の性に関わる倫理的問題に対応するための看護師の支援プログラムを作成する。昨年度の男性看護師対象の調査および17・18年度の女性看護師対象の結果をもとに、「人間の性」(ジェンダー、セックス、セクシュアリティ)の知識・意識や、患者の性にかかわる倫理的問題への専門職としての対応を習得するための支援プログラムの具体例を作成し試行した。 臨床経験を有する看護師に協力を求め、事前・事後調査や、術後に性的反応がある患者の事例や陰部洗浄に戸惑う新人看護師の事例に対するディスカッションを中心としたプログラムを実施した。経過を逐語録で記録し、参加者の意識や倫理的問題への対応の変化を分析した。 平均6.8年間の、脳神経内科、婦人科、CCU、循環器・心臓外科、小児科、内科などでの臨床経験を持つ女性看護師5名は、プログラム実施前は、「男性患者がエロティックな言動をとるのは仕方がないことだ」は肯定的、「異性の患者の清拭や排泄援助はできるだけ避けたい」は否定的な回答であった。 実施後の調査では「性に対する感じ方や考え方」に対して変化した3名、あまり変わらない2名、「患者の性に関する問題に関する考え方や対応」に対して変化した4名、あまり変わらない1名であった。プログラムの学習方法としての効果は「かなりある」3名、「ある」2名と肯定的な評価が得られた。しかし、実施に当たっては指導者や能力や定期的実施などが挙げられた。看護師個人の能力を延伸するための支援プログラムとしての可能性が示唆された。 次年度に向けてさらに分析を詳細にし、プログラムの内容の精査を行っていきたい。
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