2009年度に留学生予備校同窓会が作成した1999年度『留学生予備校同学録』の名簿を入手したことにより、元「満州国」女子留学生への調査が本格的に始まった。山東大学王教授の処に拠点に置き、61名の女子留学生及びその家族ヘアンケート調査票を同封した手紙を出した。その結果、返信が15通あり、内10通はアンケートに回答したものであった。5通はその家族からの手紙で本人が重病で返信できないことや、すでに亡くなったことが書かれていた。住所不明などが原因で12通は戻ってきた。 2009年度に5回(科研費で3回、私費で2回)にわたって中国の北京や東北地方に行き、連絡が取れた留学生にインタビューを行い、合計11名(内2名は電話インタビュー)の留学生がインタビューに応じてくれた。彼女たちは、留学事情や帰国後の状況を話してくれただけではなく、関連資料や貴重な写真も提供してくれた。同時に遼寧省档案館、遼寧省図書館、藩陽市図書館、日本の国会図書館、東京都中央図書館の実藤文庫などの資料館で関係資料を収集することができた。 9月19日~20日に、中国瀋陽で「中日関係の現実と未来国際学術シンポジウム」に参加し、「日本における中国人日本留学史研究の動向」というタイトルで口頭発表した。その文章は、遼寧大学日本研究所の『日本研究』2009年第3期に掲載された。 現在、集めてきた文献資料とインタビュー記録などを照合しながら、「[満州国]における女性の日本留学-概況分析」という題で論文を執筆中である。
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