平成21年から本格的に始めた元「満州国」留学生へのインタビュー調査は、かなりの成果(11名の元留学生へのインタビュー調査ができた)を上げている。その後、さらに数名の元留学生と連絡が取れたので、平成22年度には、5回ほど(科研費3回、奈良女子大学アジア・ジェンダー文化学研究所の依頼により一回、私費一回)出張し、中国北京、天津、大連、瀋陽とカナダ在住の元留学生へ調査を行なった。インタビューを実施した元留学生の総数は17名にのぼった。同時に遼寧省档案館、バンクーバー公立図書館(Vanccouver Pubhc Library)、日本の国会図書館、神奈川大学留学生資料室などの機関で関係資料を収集することができた。さらに日本大学理工学部図書館を通じて当時の貴重な留学生名簿を手に入れることができた。 三年間の研究期間の最終年度となっている今年度は、インタビュー調査と資料収集を行なうと同時に、インタビュー記録と文献資料の照合を行ない、研究論文にまとめ、発表した(「[満州国]における女性の日本留学-概況分析-」中国研究所『中国研究月報』、2011年9月号など)。さらに、奈良女子大学アジア・ジェンダー文化学センターの依頼を受け、2011年7月に同センター主催の「帰国留学生のキャリア形成とライフコースに関する調査」研究会で「[満州国]女子留学生と奈良女高師」の講演をした。 三年間にわたり、日華学会が出版した留学生名簿(合計18冊)全刊と駐日満州国大使館が作成した『満州国留日学生録』(欠1942年版)を手に入れることができた。元「満州国」留学生からも貴重な資料をたくさんいただいた。現在、集めた文献資料とインタビュー記録などを分析しながら、いくつかのジャンルに分類して(「[満州国]留学生予備校第三期卒業生について、東京女子医学専門学校における「満州国」留学生」など)、執筆する予定である。
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