本研究の目的は、シティズンシップ論の射程からジェンダー論を検討することで、ジェンダー論のシティズンシップ論への適用可能性とその限界を探ることを全体的な構想とする。研究計画に基づき20年度は、まず、(1)共同・連携研究者間のシティズンシップ論への共通理解を深める作業を行うため、研究会を開き、研究者らが現在扱っているシティズンシップ概念/論の報告を行った。(2)次に、検討の末、共通の研究の手がかりとして特に注目する課題を「ジェンダーをめぐる権利の実現過程」に置き、権利実現の過程において何がどのように欠落しているのか・いないのがを検討し、それが、現在急速にグローバル化する世界の中での国家・国民・市民の意味変容という現実の中にあるシティズンシップ(のあり方)と、どのように関わるのかを考えるという、二段構えの構成を取ることとした。(3)そのうえで、各人のフィールドでの当該テーマについての検討を進めた。具体的には、研究会を開いて、フランスにおけるジェンダーのあり方や、レイプ被害者支援における医療機関とNGOの協力などについて、個々のフィールドでの調査結果の報告を行った。
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