本研究の目的は、シティズンシップ論の射程からジェンダー論を検討することであり、ジェンダー論のシティズンシップ論への適用可能性とその限界を探ることを全体的な構想とする。方法としては、(1)シティズンシップ論研究、(2)親密圏におけるジェンダーをめぐる権利の実現過程の研究、に大別でできる。 本年度は、(2)の共通課題について、2009年5月の法社会学会学術大会ミニシンポジウム「ジェンダーから見た法実践」において、澤がコーディネータを務め、研究協力者である三輪、連携研究者である手嶋が報告を行い、親密圏におけるジェンダーに関わる権利実現において、差別意識を内面化している当事者らが親密圏において権利を主張し獲得する際に、どのような段階でいかなるサポートが必要かを検討した。また、権利の実現過程におけるサポートについての比較研究のため、スペインの国内人権機関、フランスのDVサポート関連機関の調査を行った。 2010年4月には、本科研研究の中間報告書として、『ジェンダーとシティズンシップをめぐる法・権利・支援-親密圏を中心に-』を編集し現在までの成果を報告している。
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