ボルネオ島の森林地域に暮らす複数の民族を対象として、自然利用を支える知識や文化の動きを現地調査にもとづいて研究した。村落内での知識の伝達は、個人の興味や自然利用の機会に大きく左右されていた。自然利用は、直接的な技術的知識だけでなく、その利用を円滑に行えるような行動様式や倫理に支えられている場合もあった。民族間で知識の伝達が起こる場合、技術的な知識の導入に比べて、行動様式や倫理の転換は難しいようだった。生活様式と自然環境のいずれも急速に変化しつつある現在、自然利用が著しく減少している集団も存在する。
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