アレクサンダー・ゴットリープ・バウムガルテンの『形而上学』(1739Halle.4.Auflage,1757)における「欲求能力」論を検討した。その成果として、「インセンティブ」と「理由」についてのカントの理論は、バウムガルテン『形而上学』における"elater"と"motivum"についての理論との脈絡においてはじめて十分に理解されうるということが判明した。また、カントの重要概念である「純粋理性」の真価も、バウムガルテンにおける「快」と「欲求」との関係についての考え方との対比において明らかにされた。
|