研究概要 |
(1)ヤスパースの『歴史の起源と目標について』を読み、そこにうかがえるウェーバー思想との対応関係について考察した。(2)『ベルーフとしての学問』と『ベルーフとしての政治』について再考した。2009年に新しく出た中山元による邦訳が適切かどうかを検討した。(3)西田幾多郎の『善の研究』とウィリアム・ジェイムズの思想との関係について、従来の研究とは異なる角度からアプローチした研究を、拙稿「西田幾多郎の『善の研究』とウィリアム・ジェイムズ」(日本宗教学会編『宗教研究』第362号、2009年12月、49-71頁)に発表した。(4)ニーチェの遺稿集『力への意志』を読み、ウェーバー思想との関わりについて考察した。(5)近代西洋のエートスを他の諸文化との比較において相対化したウェーバーの比較文化的視座についての研究を英語でまとめ、Michihiro YOKOTA,"Three Problematic Issues in the Calvinistic Ethos as Pointed out by Max Weber"(電気通信大学編『電気通信大学紀要』第22巻第1号(通巻38号)、2010年2月、41-48頁)に発表した。(6)ウェーバーとニーチェとの思想的関係についての山之内靖の研究(『ニーチェとヴェーバー』と『マックス・ヴェーバー入門』)を批判的に再検討した。(7)ドイツのハイデルベルク大学におもむき、ヴォルフガング・シュルフター教授と意見交換した。新しくできたベルクハイマー校舎の図書室で、ウェーバー関係の諸文献をチェックし、研究動向を把握した。また、ミュンヘンのバイエルン学術協会で、ウェーバーの蔵書数十冊を閲覧し調査した。とりわけ、ジンメルの『ショーペンハウアーとニーチェ』へのウェーバーの書き込みの解明に努力した。(8)ウェーバー宗教社会学についての研究成果を本の形にまとめた(未来社より今年刊行予定)。
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