研究課題/領域番号 |
20520010
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
横田 理博 電気通信大学, 情報理工学部, 准教授 (10251703)
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キーワード | 倫理学 / 比較思想 / 宗教学 / 社会学 / Max Weber |
研究概要 |
(1)2011年3月の地震・津波・原発事故を機に改めて浮上してきた「近代とは何か」という問題意識を受けて、「計算する」ことを一つの特徴として挙げるウェーバーの近代化論について再考した。勢力尚雅(編)『科学技術の倫理学』(2011年、梓出版社)の検討を通じて、科学技術の問題について考察した。 (2)ニーチェの『悲劇の誕生』を読み、「ディオニュソス/アポロ」や"ソクラテス対ディオニュソス"という主題を解明するとともに、ウェーバー思想との関わりについて考察した。(1)道徳(善悪)と芸術(美醜)との違いについてのニーチェの主張は、ウェーバーの「神々の争い」論と符合する。(2)「芸術家としての神」というニーチェの言葉を、ウェーバーが『ヒンドゥー教と仏教』で言及している。(3)ニーチェの反知性的な立場は、ウェーバーが『ベルーフとしての学問』で批判した「体験」主義につながるものと考えられる。 (3『ツァラトゥストラはこう語った』の読解を重ね、ウェーバー思想との関わりについても考察した。 (4)これまでの研究成果をまとめた『ウェーバーの倫理思想-比較宗教社会学に込められた倫理観』を2011年12月に未來社より上梓した。ウェーバーとニーチェとの思想的関係についての現段階での中間総括を本書に発表した. (5)ドイツのカッセル大学のJohannes Weiβ教授を訪問し、ウェーバー・ニーチェ・ジンメル・ハイデガーなどに関して種々有益なアドバイスをいただいた。また、カッセル大学の図書館において多くの研究書を閲覧した。 (5)ミュンヘンのバイエルン学術協会に保管されているウェーバーの蔵書の一つであるジンメルの『ショーペンハウアーとニーチェ』について、Edith Hanke博士のご協力のもとに現地で調査し、そこに書き込まれたウェーバーのメモのいくつかを明らかにし、その意味するところを検討した。昨年は主としてニーチェ論への書き込みを調査したが、今回は残るショーペンハウアー論への書き込みを調査した。 (7)ハイデルベルク大学のHannelore Chaluppa氏、レッケンのニーチェ生家に隣接する資料館、ワイマールのニーチェ資料館、ベルリンの森鵬外記念館を訪問した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画に即して、研究を進展させている。すでに、研究成果については或る程度発表している。
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今後の研究の推進方策 |
ショーペンハウアーの『意志と表象としての世界』を読み、西洋哲学とインド思想との結合の一つのあり方をそこに把握するとともに、(1)ニーチェ思想へのこの書の影響、(2)ウェーバーのインド思想論への影響、(3)近代日本の思想家(西田幾多郎や木村泰賢)への影響、などについて考察する。また、この著作を踏まえた上で、ジンメルの『ショーペンハウアーとニーチェ』について検討する。さらに、ミュンヘンに保管されているウェーバーの蔵書のうちの一冊であるこの『ショーペンハウアーとニーチェ』へのウェーバーの書き込みを調査し、そのメモから、ウェーバーが抱いたこの書の印象を明らかにする。
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