研究概要 |
本年度は,まず,1.哲学史的研究に関しては,哲学史的観点からみたディアレクティケー(問答法)とレートリケー(弁論術,あるいは修辞学)の原型となる古代ギリシアのアリストテレスによる著作と,それに関する基礎的研究文献の調査・蒐集を行なうと共に,2.現代的意義について考察するために,現代におけるディアレクティケーとレートリケーの実践と理論にかかわるアーギュメンティション(議論学)に関する調査を行なった. 1.哲学史的研究に関しては,アリストテレスとそれ以降のディアレクティケーおよびレートリケーの概念規定に関して,まず,アリストテレス自身においても,初期対話篇といわゆるコルプス(著作集)におけるそれぞれの概念,とりわけ,ディアレクティケーが重要であることを初期諸作の読解を通じて明らかにした.この場合,ディアレクティケーおよびレートリケーによって扱われる具体的なテーマは,例えば,ギリシア人やローマ人にとっての,すなわち,キリスト教成立以前の「神」概念や,宇宙,世界などである. 2.現代的意義については,エーメレン(アムステルダム大学)などによる討論の技術としてのアーギュメンティション(議論学)と,哲学的な真理探究の方法としての,古代のディアレクティケーおよび,説得の術としてのレートリケーとの関連,相違点の解明が必要であることが明らかになった.この点は,さらなる解明が今後の課題である
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