| 研究課題/領域番号 |
20520019
|
|---|
| 研究機関 | 山口大学 |
|---|
研究代表者 |
柏木 寧子 山口大学, 人文学部, 准教授 (00263624)
|
|---|
| 研究分担者 |
豊澤 一 山口大学, 人文学部, 教授 (10155591)
上原 雅文 東亜大学, 人間科学部, 教授 (30330723)
吉田 真樹 静岡県立大学, 国際関係学部, 講師 (20381733)
|
|---|
| キーワード | 神・仏・天 / 霊魂 / 運命 / 『古事記』 / 『日本霊異記』 / 『今昔物語集』天竺部 / 『一遍聖絵』 / 武士 |
|---|
| 研究概要 |
本年度は、各自分担に関する文献蒐集・個別研究を進めるとともに、佐藤正英氏(東京大学名誉教授)を招き2回の研究会を開催、各自研究の報告と討議、共通課題である八幡信仰に関わる資料読解(『八幡愚童訓』『八幡宇佐宮御託宣集』)を行った。また、宇佐神宮周辺聖地の実地調査を行い、聖地の景観と超越観念の関係構造について議論を深めた。各自分担について、進展・成果は以下の通りである。
1. 代表者・柏木は、引き続き『今昔物語集』天竺部釈迦仏関連説話の読解を進め、「神」観念との関係を考える際、踏まえられるべき「仏」観念の特質を探った。すなわち、説話群が描く仏の二面性、仏の知への到達、菩薩の行の成就、のうちとくに前者に焦点を絞り、仏の知が物語的なるものとして把捉されていることを明らかにした。
2. 分担者・豊澤は、武士道関係文献を調べ、勝敗を重大視する武士における天命と運命とが、どのようなものと観念されていたかについて考察した。主宰天と運命天の齟齬軋轢は、天に関するなんらかの独特な議論の伏在を予想させる。
3. 分担者・上原は、引き続き『古事記』上巻神話を読解し、そこに見られる知の様態を探った。そして、神話に見られる具体的な事物事象が儀礼や物語によって変容するという知の様態と、神仏を関係・共存させる知の様態との類似性を明らかにした。また、鎌倉仏教の中で唯一神と積極的に関わった一遍についても考察し、『一遍聖絵』に見られる神仏関係について読解・整理を行った。
4. 分担者・吉田は、神仏の共存が顕著に見られる霊魂観に焦点を定め、通時的な展望を得るべく考察を試みた。古代の『万葉集』挽歌、『古事記』上巻、『日本霊異記』における死後存在の取り扱いを比較考察した(そのうち『日本霊異記』については論文化した)。中世の『八島』『敦盛』、近世の『死霊解脱物語聞書』の冒頭部についても考察した。
|
