研究概要 |
交付申請書の「研究の目的・研究計画」に照らした研究実績の概要は以下の通りである。 Iボイル,ホイヘンス等の17世紀科学革命期の科学論・自然哲学に関する西洋科学論及び西洋近世哲学関係図書などの資料の入手と分析を行い,特にスピノザの『往復書簡集』で取り上げられるボイルとの関係に関して,スピノザとボイルの主張の比較検討を行った。 IIスピノザの『往復書簡集』の内容を吟味し,形而上学類と科学類に大きく大別し整理するとともに,未邦訳科学的著作『虹に関する代数的論断』の一部の試訳をおこなった。 IIIスピノザの「力」概念の中心となるコナトゥスの位置付けを体系的に把握するために,まず認識論的に「想像力」との関連の問題に取り組んだ。その成果として,スピノザのコナトゥスは哲学体系の基盤であるとの再確認し,「力の現象」としてのスピノザ哲学の特徴を認識論的側面からも明確にしえた。ホッブス及びデカルトの物体的世界とスピノザの物体的世界の構成に関する比較については,上記「力の現象」としてのスピノザ哲学との理解を視点に今後取りまとめを行う。 IVアドリアン・ヘーレボールト『Philosophia naturalis』及びスアレス『Opera Omnia』の物体論・運動論に関する該当個所の翻訳を行った。
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